【キルギス旅行記】~続・フライト編&キルギス入国~
ドバイの夜は煌びやかだった。
オレンジ色の大きな道路が輝いており、日本より大きな道路が輝いていた。
その中には血管を流れる血小板のように、小さな車が行きかっていた。
貧血で倒れる連れ
エミレーツ航空はとても良いサービスだった。料理のおいしさは書いたとおりだし、何かあったらすぐにスタッフが来てくれる。
というのも、着陸1時間ほど前、連れが貧血で唇が痺れ、気失うかも…と弱弱しい声で私を起こしたから。
私はとっさのことに焦って、My friend is sick! Pleas Japanese staff! と中学生英語のような英語でスタッフ話しかけたのだった。(sickよりillが良かったかなぁとか、もっと文章あったなあとか、後から出てくるものね…とほほ)
そんなときにも、日本人スタッフをすぐに呼んでくれて、日本人スタッフも指先に脈拍を図る機械を付けて血糖を下げるために糖分の入ったマンゴージュースと水を持ってきてくれた。
連れはそれらの後、しばらく横になって回復した。良かった。本当に焦った…
飛行機から降りる際も、私たちに気がついてくれて、体調は大丈夫ですか?と声を掛けてくれた。
スタッフのすばらしさもさることながら、飛行機の操縦もすんばらしかった。
離陸・着陸の衝撃は今まで乗ったどの飛行機よりも(といってもANAやJALしかないけれど)静かで安定感があった。花丸の操縦だったと思う。
一つ辛かったことといえば、日本からドバイへは時差が2時間ある。そのため、10時30分に出発して4時30頃到着するのだが実際には約10時間のフライトになった。
3席のうち1席は誰も来なかったことが救いではあるが、それでも私たちは二人とも眠れずに苦労した。
ゴロゴロと体制を変えては眠れず、眼下の景色をずっと見るには眠すぎて、足のやり場も頭のやり場も定まらなかった。
ドバイ空港到着
空港で気づいた大きなミス!!
さあお金を下ろそう、と思ったとき、もしや!!!と血の気が引いた。
滞在費分を移動させたキャッシュ口座のカードを、持ってくるのを忘れてしまったのだ!!
なんて、大バカ者!!
ショックでショックでしばらく落ち込んだ…(ドバイからキルギスへ向かう飛行機の中ではもう元気いっぱいだったが)
今回は緊急用日本円一万円と、米ドル一万円分、クレジットカードは持ってきていた。
現地での滞在費として用意していた11万円は、連れから借りることにした。
ドバイ空港のスタバで美味しいチーズパイを食べて落ち着いた。
ドバイ→キルギスへ
さて、キルギスへの飛行機に乗るぞ。
トランジットは3時間。
スタバで少しゆっくりしてショックを癒し、ドバイ空港の観光をしたらなんやかんやいい時間。
キルギス行きの搭乗口C43はドバイ空港の中でもさらに奥まった、秘境の地のような場所にあった。
人も少なく閑散としており、少し怖かった。
ビシュケク行きを呼びかける際は、よくある放送ではなく、スタッフが「ビシュケク!ビシュケク!」とひたすら叫んでいた。これぞ小さい空港だ。飛行機は大丈夫か?とわくわくそわそわしてゲートへ向かった。
しかも!飛行機まではみんなで小さなバスに乗っていくのだった。これも初めての体験!
立っていたら、ふいに目の前に座っていた男性が無言で立った。
あれ、もうつくのかなとも思ったけれど、少したってもなかなか着かない。もしかしてこれは席を譲ってくれたのでは!と思い、そっと座らせていただいた。日本人にとても顔が似ていたのでキルギスの人かな。優しいなぁ。
やっぱり地球は丸く、世界は広かった。
眼下に広がるイランの砂漠地帯。
単に茶色といっても、赤茶や薄茶、白っぽかったり濃かったり様々で、それらが地層のように年輪のようになっていた。時には木の根のように見えた。
砂埃が常に舞っているのか、世界はフィルターをかけたように白く、それでも存在感のある広大な砂漠。
中でも迫力のある凹凸のある山々。影の部分と陽に当たる部分がはっきりと分かれており、とても美しかった。
そしてその砂漠の中に、線を引いたように道路が一本、また一本と走る。
時たま現れる小さな集落。
どんな生活をして、どんな人が暮らしているのだろう。
人が住んでいる場所は四角く整頓され、緑や白、茶色が組み合わさり、生地が張り付いているような感じ。
大自然の山々の後にそういった街が見えると、人が住んでいるんだなぁと改めて感じる。雨は降らないだろうから、水、どうしているんだろう…
トルクメニスタンに入った。
国境は山なのだろうか。よくわからない感じ。
山々が消え、平坦な大地にパズルのように土地が重なっている。
住宅が密集している地域と、その他は畑なのか、区画に区切られている。
かなり広い範囲このような土地。
山がない代わりに、畑の耕作が盛んそう。
キルギス入国!
キルギスの空港に着いた!
一番のドキドキは入国検査のところ。
これも人生初めて。
飛行機の中で入国の書類を貰い、何とか解読しながら英語で記載。
キルギスに到着後、おばちゃんに日本で発行したコロナの陰性証明をみせると、くいっと手を振られ先に行っていいよと言われた。
その後一人一人パスポートの顔写真と見比べられ、簡単な質疑応答があった。(ちなみに連れは顔写真チェックだけで質疑は何もなかった)
「英語話せる?」
「少し…」
「キルギスに来るの初めて?」
「はい」
「学生?」
「いいえ」
「旅行者?」
「はい」
「ok、行っていいよ」
こんな感じ。緊張のあまり、本当にyes,noでしか答えられなかった…ひえ~
ちなみに少し前の人は個室に連れていかれてた…
何はともあれ、入国スタンプを押してもらい、キルギスへ入国!
やった~~~~
もうテンション上がりまくり。
キャッシュカードを忘れたことなんて、もうすっかり忘れていました。我ながらのんきな頭である。
お金を下ろすときにまたハッと思い出して、少ししょんぼり。
連れに笑い飛ばしてもらいながら、11,000ソムを下ろした。現在のレートだと、1円1,25円くらいなので、少し物価は安いね。
SIM繋がらず…
その後SIMを買って、宿へ行くぞ、と意気込んだところで問題が発生。
連れはスマホのSIMロックを外していたのですんなり接続できたのだが、私はSIMロックを外しておらず、モバイルWi-FiにSIMを挿入して使うつもりでいた。
だが、モバイルWi-FiにSIMを挿入してもうんともすんとも接続ができない。
なんてこった!
お店の本当に優しいおばちゃんもずっと手伝ってくれて、お互い片言の英語ながら接続完了を目指して頑張った。
だが、努力も虚しく結局繋がらなかった。
おばちゃんにはSIM2個分のお金を払い、後は自分たちで頑張るよと伝えた。
その後も悪戦苦闘したが、結果は……つながらず。
今回はネットに頼らず行こうと思う。
これもある意味良い結果なのかもしれない。(と前向きにとらえることにした。)
ちなみにビシュケクの空港に到着したのが、13時ちょうど頃、SIMをあきらめるに至ったのは15時頃。2時間も空港にいたのであった。
出だしから楽しいぞ!
マルシュルートカ(乗り合いバス)でビシュケク市街地へ
よし、宿へ行こう。と50ソム(空港価格でやや高め。それでも安いけど)の水を買って、バスを探す。
バス停はすぐにあるが、一体どのバスに乗ればビシュケク市街へ行けるのか……
確か380のバスだったよね、と、先達の旅人たちがブログに残してくれた情報を頼りに、380と書かれたバスに乗車した。
乗車の際、全く言葉が通じず。
身振り手振りでなんとか乗ることに成功した。1人50ソム。乗るときにおじちゃんに手渡す。
窓は半分くらい開け放たれており、天井の窓も少し開いていた。そのため非常に風通しが良かった。
乗客はバス停のマークがあるところにちらほら立っていて、ピックしてもらう。
降りる時は、降りたい場所でおじちゃんに伝えて降ろしてもらっていた。すごい。
乗ってくる人来る人面白く、みんなおじちゃんの助手席にすぐに座って話し始めたりしていた。
次に乗る人も、その助手席の人に代金をわたして、助手席の人がおじちゃんに渡して、おじちゃんは運転しながらお釣りを用意して、助手席の人に渡して……なんて手渡しゲームを繰り広げていた。
その他にも、運転しながら電話して、急に反対車線ぎりぎりのところで停車したかと思うと、向かいに同じように停車していた同じくバスの運転手に何かの書類を手渡していたり。
とにかく、日本の当たり前では考えられない緩さなのかあたりまえがあって、それが面白く、心地よかった。言葉は全く通じないのでそこには不安もあるが、これからが楽しみになった。
なんてったって、道すがら牛や馬や伝統の帽子をかぶったおじいちゃんを見かけたから!
宿へ向かう
Googleマップの宿近くのところで降り、いざ向かおう、と思ったが、何と1時間以上歩く距離の場所だった。
ひえ~~と思いつつ、タクシーに乗るのは最終手段にしたいし、まずは歩くことにした。
気温は33度らしいが、日本のようなじめっとした熱さではなく、カラッとサラッとした熱さなのでまだ楽だった。でももちろん汗は滝のように流れた。
バックパックを背負ってお腹にもカバンを持っている人が珍しいのか、日本人が珍しいのか、道行く人みんながガン見してきて少し気まずかった。
歩いたおかげで、市街の街並みを知ることができた。
大きな広い公園や、路上で売られているフルーツや野菜、標高が高いからか針葉樹が多い事、排気ガスと砂埃がすごくて、鼻の中が真っ黒になりそうなこと。
えっちらおっちら歩いて、ようやっと宿に到着。
Nomads home
迎えてくれたのは優しいお姉さん。
笑顔が可愛く、乾燥したこのまちでどうしてそのお肌を?と思うほどつるつるのお肌のお姉さん。
英語も聞き取りやすく、とても親しみやすかった。
部屋に案内され、バスルームなどを教えてもらった。
荷物を置いて、一息ついたところで夜ご飯を食べに行くことにした。
なんてったってもう17時頃になっていた。
日はまだまだ高く、何とキルギスでは20時に日の入り、6時に日の出だそう。
パンチの効いた飲み物!
道端で変な味の飲み物を売っていると有名なところがある。
それも、少し歩けばそこかしこですぐに売っている。
キルギスの人たちは好んで買って飲むそうだが、旅行者は最後まで飲めない人も多いらしい。
三種類の味があり、カップの大きさも様々。
そりゃあ、ここに来たらもちろん飲むでしょう!
一番初心者向けのを小さいカップでもらった。12ソム(約15円くらい)
言葉は全く通じないが、身振り手振りそして笑顔!でなんとか注文。
おばちゃんもやさしくて、言ってくれて言いたいことをくみ取ってくれた。
いざ、実食(実飲!)
…
うーーーーーーん!!!!
確かにパンチ効いてる!!!
まず、舌が痺れる。これは炭酸かな。。。
味はめちゃくちゃしょっぱいヨーグルト。
とにかく味も濃く、下もピリピリとしている。
でも、熱中症とかには効きそう。塩分補給にもなるし。
原材料は全く分からないし、おいしい!というものでもないけど、これはこれで面白かった。全部頂いてごちそうさまでした。
(後で調べると、キルギスの伝統的な飲み物「マクシム」とのこと。大麦を発酵させて作られたとのこと)
キルギスでの初めての食事
来るときに気になっていたハラールの美味しそうなお店へ。
いざ店内を見てみると、おじちゃんとおばちゃんが2人で席に座っているだけ。
最初のお店にしては少しローカルすぎやしないかい?とひやひやしながら入店。
おじちゃんおばちゃんはお店の人だった。奥に座っていたお客さんもちょうど食べ終わって店を出てしまった。
沈黙が少し流れる。
まず英語で話しかける。
「英語は話せないよ」
そうですよね…キルギスの公用語はキルギス語とロシア語ですもんね…
身振り手振りでなんとか、食べれる?ここで?と伝える。
目の前のショーケースの中にあったハンバーグとソーセージと米とスープをひとつづつ名前を言ってくれて、どれ食べる?と聞いてくれた。
連れはハンバーグ私はソーセージで頼んだ。
お皿には日本の大盛りより多いくらいのご飯、ソースをひと回し、ハンバーグとソーセージをそれぞれのせてチンしてくれた。
これで1人120ソム(約144円)!!
や、安い。
しかし、肝心のお味は…?
う、美味い!!!
なんか、バターごはんみたいな少し塩気のあるお米に、トマトベースのソースにソーセージの濃い味付けが合う合う!
大盛りの量なのでお腹はパンパンになったが心も満たされた。
うまいうまいと頬張っていると、娘さんなのか可愛いお嬢さんがご帰宅された。
ほっぺパンパンに頬張っている時に目が合って、しばらく見つめ合った。
そうしたら女の子がにこっと微笑んでくれて、とても可愛らしかった。
私も何とか微笑もうと頑張ったが、もしかしたら目を細めただけに映ったかもしれない。(頬がパンパンでもごもごしていたため)
その後、帰り際に何とか思いを伝えたい!とキルギス語のありがとう「ラフマット」をおじちゃんに伝えた。(ラフマットは頻出単語です!ありがとうと伝えるとみんな笑顔になってくれるよ)
「ラフマット(笑み)」
「ラフマット(笑み)」
美味しかったよ~という気持ちが通じていればいいな。
おじちゃんも表情から笑ってくれたのでそう信じたい。
店を出るときに、女の子が
「Goodby!」
と笑ってくれたので
「Goodby!」と笑って手を振った。
ここは通ったらだんだんおじちゃんとも女の子とも仲良くなれそうな予感!味も美味しいしね!
もしかしたらキルギスの人は日本の人と似てて少し人見知りもあるかもしれない、と少し思った。
帰りはスーパーに寄って水とジュースを購入。
水は22ソム!ジュースはパックみたいなので12ソム!買っちゃうよね。
宿に帰宅
宿に帰って、シャワーを浴びる。何にせよ、すごい汗かいて汗臭かったから。
ちょろちょろと出るシャワーは海外っぽかった。温度調節が難しくて、ほぼ水で体などを洗っていると、めっちゃ熱いお湯が出てきたので、着ていた服もついでに洗った。
優しい宿のお姉さんはアイダナさん。
外のテーブルで作業していたら、今まで訪れた人たちが綴った本だよ、と二冊の本を見せてくれた。
そこには日本語や英語、ロシア語、韓国語、読めない国の文字、様々な文字で、ビシュケクの観光スポットへの行き方や近接各国でのビザの取り方、注意すること、キャッシングできる場所、…本当にここnomads homeの歴史が詰まった本だった。
ワクワクしているといつの間にか日が暮れていた。
パチッと外の電気をつけてくれたけど調子が悪く、お家の中においでよと家の中で読ませてくれた。
しかもパンケーキみたいなのも出してくれたり、フルーツ食べる?と進めてくれたり。
もうすぐ部屋に帰るね、と伝えると、せっかくなら部屋に持って行って読んでいいよ、と気さくに言ってくれた。
しかも、洗濯物干したいんだけど場所ある?と聞いた時も、もちろん!部屋の前のワイヤーを使っていいよ。といってくれた。
ここの宿は必ず帰るときも寄ろうと決めた。
彼女の人柄もあって、この居心地の良い宿が生まれているんだなと実感した。
キルギスに来て最初の宿がここで本当に良かった。
可愛い花柄のベッドでぐっすり眠って、明日も楽しむぞ。
おやすみ。