【迷子を楽しもう】行く先は足に聞いてみる。
ただいま迷子中。
人生にではなく道に迷っています。
台風が通り過ぎていって、ベランダから流れてくる気持ちの良い風に誘われて散歩に出かけました。
お気に入りのカメラを手に、財布も携帯も持たずに。
17時の空には金色の太陽の筋が輝いて、公園で遊ぶ子供の声や学校帰りの学生の笑い声が響いていました。
すがすがしい気持ちで太陽に誘われるまま足を動かします。
知らない道、知らない人々、知らないにおい、知らない音……
はじめましての感覚は、まだ知らない私に出会わせてくれました。
増水した川を見ながら橋を渡り、きれいに空が撮れる場所がないかなぁと探します。
そうこうしているうちに日は沈んで、ふと振り向くと大きな月が顔を出していました。
大きな大きなパンケーキのような月。
街の街頭とは違う、穏やかで優しい光を届けてくれる月。
静かに夜を引き連れて、ビロードのような青を空に広げていきます。
あっという間に変化する空を見るのが私は大好きなのです。
1時間30分くらい歩くともう辺りは真っ暗に。
さあ家に帰ろうと回れ右をします。
どうせなら知らない道から帰ろうと、あの道を曲がったりこの道を進んだり。
そうして迷子になったのです。
ぜひ、体の感覚を広げて外の世界を内側に入れてみてください。
いつもの時間の流れとは違う感覚を味わえるかもしれません。